[ Anium イベントレポート ]

2017年11月25日(土)東京大学駒場キャンパス駒場祭(11/24-26)にて、「瀬名快伸トークショーin 東大〜監督から声優までこなすアニメ制作者の素顔〜」が行われた。主催は東京大学アニメーション研究会。

声優・脚本・監督までこなすアニメ制作者として活躍されている瀬名快伸さん(aniworks-pro所属)がゲストとして登壇し、会場には瀬名さんの作品である「印ストール」「ヴァンパイアホームズ」などのファンが各地から駆けつけた。トークショーは司会無しのフリートーク形式。瀬名さんの生い立ちからアニメ制作の裏側まで2時間たっぷり語った。

[プロフィールトーク]

最初のコーナーはプロフィールトーク。自身の育ってきた環境から自身の性格、アニメ制作を始めた経緯などを話した。瀬名さんは、経済的に恵まれない家庭で育ち、あまり人前に出る性格ではなかったため、幼少期は家でよくアニメを見ていた。その影響もあって高校卒業後は、放送劇団を立ち上げを行ったり、映像の専門学校に通った。まもなくして映像の専門学校を中退した後、裏方の経験もあったことから当時からやりたかったというアニメ制作に取り掛かり始めたという。歌手などアーティストとして活動も行なっており、当時の写真を元に「今では黒歴史だね(笑)」と会場の笑いを誘うも、「作品を作り出し何かを伝える人間」であることに変わりはないことがしっかりと伝わった。

自分がこの業界を志したきっかけについて聞かれると、自分自身の境遇から『「自分が何者であるのか証明したかった。何か作品を制作して出す。何か作品を制作して出す。を繰り返していた。」という考えがあったから。』と話している。

[アニメ制作について]

アニメ・モノを作る時に一つだけ意識してる事・こだわりは何か?というお題に対して、瀬名さんが答えたのは、「時代性」「どうゆう時代で何を伝えていくのか」というものだった。制作費を2億円、3億円使って視聴者に何を伝えたいか。それに加え「時代性」が伴っているか。というのを重要視していると熱く語った。多額の予算から何かを伝えていくアニメーション作りはまさに「公共事業のようなもの」だと例えている。

瀬名さんのアニメ作品「印ストール」も、テーマを作品に刷り込ませており、アニメ「印ストール」は制作当時、インターネットへの過剰な信頼に対して「あそこに乗るものは嘘だろうが本当だろうが、なんでも信じていた。それって本当は危険なことなのではないか。真実か嘘か自分の目で確かめるべきだ。」という思いで、アニメを制作をした。

続いて制作された、アニメ「奇魂侍」も虚構の話であり、自分の心の描写の話。「自分の見たものが全てではない」というメッセージが込められ制作されたという。これまで瀬名さんが送り出してきた作品は、瀬名さん自身の境遇や体験、感情をストレートに反映させているという印象を受ける。

ここで「今後どんなアニメ作品を作りたいか。」という問いに対して、瀬名さんは「現在新たな作品に取り組んでいる。大きなことをやらせて頂いている。今まで以上に動きの多いアニメを作るので楽しみにしていてほしい。」と今後の活動について触れた。

これまで作品を制作してきたアニメーション中で、制作に使用したセルを枚数の話になり、「奇魂侍」は動きが多い演出だったためセルの枚数も多めになった。「頭おかしいんじゃないか(笑)」と周りに言われるほどセルを多く使い、動きにこだわったという。そんな背景もあり、次の作品の制作時には「日本の良さはリミテッドアニメである、そうだ、セルの枚数を減らそう!」と思い立ち、作品に取り掛かった。

「日本のアニメの良い部分はなんだろう?もっと面白いことができるのではないか?」

そこで完成したのがアニメ「VAMPIRE HOLMES」だった。「VAMPIRE HOLMES」は、日本のアニメーションの特徴である「リミテッドアニメーション」仕様で制作し、演出において「時間の省略」をテーマにしている。演出の仕方によって作品が与える印象とストーリーと組み合わせてコメディを作り上げた。「VAMPIRE HOLMES」は、セルの枚数が多い「奇魂侍」を作った後に制作されたが、”テーマを持っている”ことからセルを極端に減らしたことに対して抵抗などは全くなかったという。

 

[作品トーク]

瀬名さんが制作されたアニメ4作品「印ストール」「奇魂侍」「VAMPIRE HOLMES」「猫も、オンダケ」が上映され、裏話をお伺いした。

駆け出しの瀬名さんがある時 突然アニメを作ろうと思い立ち、どういった行動に出たのか。脚本ができた段階でアニメ製作会社一覧をインターネットで探し出し、あいうえお順に並んだ電話番号に順番にかけていったというエピソードが。そこで話を聞いてもらった製作会社とタッグを組んで完成したのが「印ストール」だった。

声優としても参加したこの作品で「なぜ声優として役に加わることになったのか?」という質問に対して、「オーディションを行いアニメーションを作ってたスタッフにアンケートをとった結果、選ばれたから(笑)」といった背景があり主役を演じた。

しかし制作後、業界のある大先輩から言われた「これだけのアニメを作れるのはすごい。しかしまだ1年生だからこの才能を伸ばした方がいい。中途半端になるから監督・脚本家としてのキャリアに専念しろ。」という勧めで一度声優業を辞めいったん離れることになる。

その後、キャリアを積むため他の仕事をするも、ひょんな事がきっかけで「やっぱり芝居やりたいんだろ?」と同先輩から言われ、声優業へ復活し芝居を再開する。

一度やめた声優業だったが、「あなたがもしその道に進むべき人であるならば、どのような状態であっても必ずあなたはその道に行くでしょう。」という母の言葉に言われた言葉を思い出し、「中途半端ではなく、ちゃんと芝居やろう」と再び声優としても活動し始め、その時、制作されたアニメ作品「奇魂侍」にて主演として参加することになる。

「奇魂侍」の演出について、斬られたのに吹き出るものが血ではないことや、シーンによって色を使い分けていることなど、何か意図やメッセージを込められている。これは、『この作品は「自分の世界は自分自身が決めることだ」「起こっている奇跡が見えてないだけだ」など、自分に対してのテーマでもあった。だからこそ色や作中のセリフの演出を誇張した。どうしたら自分のテーマがフィルムやアニメを通して世の中に伝わるのか。そういう思いで制作した。』と語った。

[質問コーナー]

ー どんなスケジュールですか?

A. 6時半に起きて朝ご飯食べながら仕事したりします。12時に寝るみたいな生活です。忙しくしてます(笑)

ー 一緒にお仕事をしてみたい方はいますか?

A. いろんな方としてみたい!

ー 今までで一番楽しかった仕事はなんですか?

A.  やっぱり、アニメを制作しているが一番楽しいです。今、いろいろなことをやらせてもらって毎日が楽しい、どんなにきつくても、その瞬間瞬間が楽しいです。

ー 行き詰まった時は何をしていますか?

A. 別のことをしています。脚本で煮詰まったら絵コンテやったり、次のことをしてできるだけ多くのことをします。

ー  アニメ業界志望です。アニメ業界で強みとなる力はなんですか?

A. 絵を描く人といかにリーチできるか。これから日本のアニメーションはどんどん変わっていく時代だと思うし、CG作品も増えていくと思うが、手書きのフィルムも残っていくから絵をかける人といかに繋がれるのかってのは強みになる。絵を描く人も不足しているし、大事です。

ー アニメ業界へ進む人へメッセージ

A. 先ほどウェルカムと話したが、やめたほうがいいのかもしれない。すごいきついしすごい大変です。それでもやりたいと思えばその情熱が原動力になる。迷っているくらいならやめておいたほうがいいのかもしれない。と言います。大変なので…(笑)

ー アニメはイケてるビジネスと思うか?

A. 振り幅がすごい。売れるものはものすごく売れるし、売れないものは全く売れない。だからこそ夢があるのかもしれない。イケてると思う。

ー  モチベーションが上がらない時はどうしていますか?

A.  モチベーションが上がらない時は、モチベーションを上げようとしないでほしい。モチベーションが上がらない時に上げようとするとキツイので、ニュートラルに持っていくところから始めると自然と上がってくる。

ー なぜ東大に来たのか。

A.  呼んでくれた東大の子が僕のファンだったらしく、僕も人生で一度行ってみたい場所が東大だったので、引き受けました(笑)

 

質問コーナーは以上で終了し、「これからも僕はこの業界で頑張って行きたい」と今後の抱負で締めくくり、来場者の拍手の中トークショーは無事、幕を閉じた。

 

瀬名快伸 – aniworks-pro所属。1978年愛知県生まれ。高校卒業後、放送劇団の立ち上げや、映像制作などに携わるようになる。アニメ「印ストール」「奇魂侍」「VAMPAIRE HOLMES」等、声優・脚本家・監督までこなすアニメ制作者として活躍している。第3回角川映画エンジェル大賞佳作受賞「アカペラ」。短編アニメ映画『奇魂侍』(監督・主演・脚本)が山形県知事賞受賞。

東京大学アニメーション研究会 – 東京大学駒場キャンパスを拠点とし、アニメをはじめとしてコミック・同人誌・ゲーム・声優・フィギュア等、 アニメと関連したことに興味のある人たちが集うサークルとして活動している。東京大学の文化祭(五月祭・駒場祭)にてアニメ声優・制作者などをゲストとしトークショーイベントを開催している。twitterアカウント(@ssa_info)

記事=Anium編集部

撮影=かねこひろゆき