2020年2月16日(日)、“アニメソングの女王”堀江美都子のデビュー50周年記念特別公演「ワンガールコンサート’20」がよみうり大手町ホールで開催された。

会場は満席。若者からシニア世代まで幅広い年齢層のファンが客席を埋めていた。

 

「テレビを見ている子どもたちの代表に主題歌を歌ってもらおう」――そんな趣旨から日本コロムビアが育てたアニメソング歌手の第一号が堀江美都子だった。きっかけになったのは、フジテレビの番組『ちびっこのどじまん』に出演したこと。スカウトされて歌の世界に飛び込み、12歳のとき、オーディションを受けて、あるテレビ番組の主題歌を歌うことになった。1969年4月から放送されたタツノコプロ制作のテレビアニメ『紅三四郎』である。

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コンサートはそのデビュー曲「紅三四郎」(『紅三四郎』[1969]後期オープニング主題歌/作詞:丘灯至夫 作曲:和田香苗)からスタートした。

堀江美都子は白のトップスに白のショートパンツとニーハイブーツ、白いチュールスカートを組み合わせた姿で登場。70~80年代から「ミッチ」の愛称で呼んで応援してきたファンにはぐっとくるスタイルだ。ファンの手拍子を浴びながら、3コーラスを熱唱した。「前半は歌謡ショーのような感じでいきたい」との堀江美都子の希望から、コンサートの第1部は、よみうり大手町ホールの企画プロデューサーも務める読売新聞社の鈴木美潮の司会で進行。

曲はデビュー当時の代表曲「アクビ娘」(『ハクション大魔王』[1969]前期エンディング主題歌&後期オープニング主題歌/作詞:丘灯至夫 作曲:和田香苗)、「魔法のマコちゃん」(『魔法のマコちゃん』[1971]オープニング主題歌/作詞・作曲:渡辺岳夫)と続く。

 

パワフルなドラムソロとパヤパヤコーラスが魅力的な「アクビ娘」では、当時歌謡曲で流行っていた語尾をしゃくる歌い方が採り入れられている。

その歌を聴いた作曲家・渡辺岳夫が「あの歌い方で歌ってみて」と堀江美都子にリクエストしたのが「魔法のマコちゃん」。

主人公のマコは横浜に住む中学2年生の女の子。当時の堀江美都子も横浜在住の中学2年生で、長い黒髪、弟がいるなど、マコと共通点が多かった。そして、この曲が数々の名曲を堀江美都子のために書いてくれた渡辺岳夫との運命の出会いになった。

 

続いて、「心のうた」(『さすらいの太陽』[1971]エンディング主題歌/作詞:三条たかし 作曲:いずみたく)、「かぐや姫先生のうた」(『好き!すき!!魔女先生』[1971]オープニング主題歌/作詞:石ノ森章太郎 作曲:渡辺岳夫)と、これも古くからのファンには懐かしい2曲。

ヒットメーカー・いずみたくが手がけた「心のうた」は、そのタイトル通り、心にしみいる名バラード。コンサートでも繰り返し歌われ、デビュー35周年ベストアルバムのタイトルにもなった、堀江美都子にとっても大切な曲だ。アコースティックギターをバックに情感たっぷりに歌って、会場を感動に包み込む。

「かぐや姫先生のうた」は原作者・石ノ森章太郎による詩と渡辺岳夫らしいメロディラインが胸をキュンとさせる曲。宇宙からやって来た美人先生が子どもたちと触れ合う、ロマンティックな実写ファンタジー作品の主題歌だ。

50年前の主題歌を当時と変わらぬイメージで歌う堀江美都子の歌声に、あらためて魅せられた。

 

「私の特別なコンサートに来てくださってありがとうございます」と堀江美都子が語り始める。

20周年、30周年、40周年と節目となる年にコンサートを開いてきた。「もうやらないかも」と思っていた50周年記念コンサート。タイトルの「ワンガールコンサート」は、20代の頃、堀江美都子がソロでコンサートツアーを行っていたときに付けられていたタイトルだった。そのときの気持ちをもう一度思い出したいとの思いが、今回のコンサートタイトルに込められている。ファンも、ステージの上のメンバーも、スタッフも、すべての人で50周年を祝いたいとの言葉に、温かい拍手が贈られた。

 

ふたたび歌に戻り、楽しく元気の出る曲が次々と歌われる。

「緑の陽だまり」(『山ねずみロッキーチャック』[1973]オープニング主題歌/作詞:中山千夏 作曲:宇野誠一郎)、「ぼくらきょうだいてんとう虫」(『てんとう虫の歌』[1974]オープニング主題歌/原作詞:川崎のぼる 作詞:若林一郎 作曲:菊池俊輔)、「けろっこデメタン」(『けろっこデメタン』[1973]オープニング主題歌/作詞:丘灯至夫 作曲:越部信義)。

「緑の陽だまり」「ぼくらきょうだいてんとう虫」では、堀江美都子の長男・堀江諒介がステージに上がり、親子共演を聴かせてくれた。テンポのいい曲が続いて、客席の手拍子もはずむ。

次は男の子が活躍する「冒険もの」を集めたコーナー。

「シンドバットのぼうけん」(『アラビアンナイト シンドバットの冒険』[1975]オープニング主題歌/作詞:若林一郎 作曲:菊池俊輔)、「ジムボタンの歌」(『ジムボタン』[1974]オープニング主題歌/作詞:保冨康午 作曲:越部信義)、「ぺペロの冒険」(『アンデス少年 ペペロの冒険』[1975]オープニング主題歌/作詞:楳図かずお 作曲:山下毅雄)の3曲をメドレーで。

「ジムボタンの歌」は、『はてしない物語』などで知られる作家ミヒャエル・エンデの児童文学を原作にしたテレビアニメ『ジムボタン』の主題歌。越部信義らしい歯切れのよいメロディに思わず体が踊ってしまう勢いのある曲だ。男声コーラスと合いの手のかけ声がポイントだが、客席からも大きなかけ声が上がり、ステージと客席が一体になって盛り上がった。

 

続いては少女向けアニメから。

1978年、人気絶頂のピンク・レディーが「UFO」で日本レコード大賞を受賞した年に発表されたのが「魔女っ子チックル」(『魔女っ子チックル』[1978]オープニング主題歌/作詞:永井豪 作曲:渡辺岳夫)。

当時は『宇宙戦艦ヤマト』の映画が大ヒットし、日本中がアニメブームに沸いていた時期。堀江美都子もアニメソング歌手としてステージに上る機会が増えていた。この曲では、なんとピンク・レディーの振り付けを担当していた土井甫(はじめ)が堀江美都子のために振り付けをしている。アニメソング歌手にアイドル的な人気が集まり始めた時代を象徴する曲だった。

堀江美都子は当時のままの振り付けでフルコーラスを歌唱。会場からは熱烈な「ミッチ!」コールが上がった。

「魔女っ子チックル」で振り付けのコツを学んだ堀江美都子が自ら振りを考えて歌ったのが次の2曲。

「花の子ルンルン」(『花の子ルンルン』[1979]オープニング主題歌/作詞:千家和也 作曲:小林亜星)、「ハロー!サンディベル」(『ハロー!サンディベル』[1981]オープニング主題歌/作詞:三浦徳子 作曲:渡辺岳夫)。

いずれもティーンエイジャーを中心にアニメブームが盛り上がっていた時代に生まれた人気曲だ。

作曲はテレビアニメ創生期からアニメソングを手がけるベテラン作曲家の2人。しかし、そのメロディは「テレビまんが主題歌」と呼ばれていた従来のアニメソングとはひと味違う香りをただよわせている。堀江美都子の歌声からも、アニメソングが大人びたポップス風の曲調に変化していく時代の息吹が伝わってくる。ミッチの歴史はアニメソングの歴史そのものなのだ。

客席では熱心なファンが堀江美都子と一緒に振りをする光景も見られた。

 

いよいよ、第1部のクライマックス。

おまちかねのスーパーロボットソングのコーナーである。

コーラスに堀江諒介がふたたび参加。「宇宙魔神ダイケンゴーの歌」(『宇宙魔神ダイケンゴー』[1978]オープニング主題歌/作詞:鳥海尽三 作曲:小林亜星)、「ダルタニアスの歌」(『未来ロボ ダルタニアス』[1979]オープニング主題歌/作詞:八手三郎 作曲:小林亜星)、「ボルテスVの歌」(『超電磁マシーン ボルテスV』[1977]オープニング主題歌/作詞:八手三郎 作曲:小林亜星)の3曲連続で会場はヒートアップした。

ロボットアニメの主題歌を女性歌手が歌うことは今では珍しくないが、当時は画期的なことだった。ロボットアニメの中でも女性キャラクターが重要なポジションを占めるようになり、男女が協力して敵に立ち向かうドラマがアニメファンを熱くさせた。

堀江美都子が歌うロボットアニメ主題歌は、闘いの曲というより、仲間とともにひとつの目標をめざす青春ドラマのような、熱い思いをたたえた曲に聴こえる。その熱さが、仲間を求める当時のアニメファンの胸にも響いた。ロボットアニメという枠を超えて、忘れられない歌たちである。

 

  • ゲストコーナー

ロボットアニメソングをパワー全開で歌ったあと、ゲストを迎えてのトークコーナーになった。

“アニメソング界の帝王”水木一郎と“アニメソング界のプリンス”影山ヒロノブが登場。ステージには白いソファが置かれ、人気トーク番組を思わせる「ミッチの部屋」の趣向である。

ステージで幾度となく共演している3人。リラックスしたムードでトークが展開した。2人がミッチと初めて会ったときのエピソード、「ミッチにはかなわないと思うところ」「ミッチのすごいところ」などが語られ、客席が爆笑する場面もしばしば。

そして、せっかく3人そろったからと、3人でレコーディングした珍しい曲「響け!太鼓の達人」(PS2用ゲームソフト『太鼓の達人 とびっきり!アニメスペシャル』[2005]/作詞:BNEI[小田一行] 作曲:BNEI[神前暁・小田一行])をステージで披露。息もぴったりのパワフルなパフォーマンスに会場はふたたび熱気に包まれた。

ここで休憩となるところ、「ちょっと待って」と水木一郎が呼び止める。堀江美都子がまったく気づいていなかったサプライズが待っていた。

 

アニメソングシンガーの仲間たちからのデビュー50周年記念ソングのプレゼントである。この日のためにひそかに新曲を作り、レコーディングまでしていたのだ。

曲は「カナリア」(作詞・影山ヒロノブ、遠藤正明 作曲・水木一郎、影山ヒロノブ 編曲・須藤賢一 演奏:BROADWAY)。

 

ステージにはレコーディングに参加した遠藤正明、森口博子、米倉千尋、Salia、金月真美、鈴木結女が現れ、水木一郎、影山ヒロノブと一緒に歌い始める。

しっとりとしたバラードの曲。ミッチの歌手人生をたどるような歌詞。曲のクライマックスでは、客席後方からアーティストたちが続々と登場して通路を埋める。総勢40人を超えるアーティストが堀江美都子のデビュー50周年を祝って歌声を重ねた。

会場に駆けつけたアーティストは以下の通り(50音順・敬称略)。

アップルパイ(杉山小絵子、平山佳代子)、鮎川麻弥、池田彩、石田燿子、石原慎一、井上あずみ、うちやえゆか、大杉久美子、喜多修平、きただにひろし、串田アキラ、ザ☆カインズ(貴日ワタリ、常見弘士、斉藤淳一)、高取ヒデアキ、高橋秀幸、瀧本瞳、谷本貴義、NoB、bless4(KANASA、AKINO、AIKI)、松澤由美、松原剛志、三重野瞳、MIQ、宮内タカユキ、MoJo、山形ユキオ、吉田仁美、voyager(瀬下千晶、TAKERU)。

これにはミッチも思わず涙。ハンカチを渡されて涙を押さえる姿に、客席のファンも胸がいっぱいになった。

歌のあと、大杉久美子から花束が、串田アキラから寄せ書きが、宮内タカユキからレコーディングしたCDが堀江美都子に手渡された。大きな拍手に続き、ステージと客席全員で堀江美都子デビュー50周年に「おめでとう!」を叫んで心からの祝福を贈った。この瞬間を一緒に祝えるよろこびを、会場にいた誰もが感じていたに違いない。

 

  • 第2部

15分の休憩をはさんで第2部がスタート。

幕開けの曲は「グローイン・グアップ」(作詞:来生えつこ 作曲:来生たかお)。

1990年に放送された世界名作劇場『私のあしながおじさん』のオープニング主題歌だ。堀江美都子自身が主人公を演じた思い出の作品であり、90年代、そして平成という新たな時代の始まりを告げる曲になった。

堀江美都子は水色のゆったりしたワンピースドレスで登場。「セーラー服と機関銃」(薬師丸ひろ子)などのヒットメーカー・来生えつこ、来生たかお姉弟の手による曲を優雅にロマンティックに歌い、第1部とは違った雰囲気で客席のファンを魅了した。

第2部は堀江美都子自身のMCで進行。

80年代、アニメブームの広がりとともに堀江美都子の活動にも変化が起きた。主題歌の仕事が減る代わりに、声優としての活躍が増えていったのだ。そんな中で堀江美都子が声優として主役を務め、主題歌も担当した作品から4曲が歌われた。

「ハローララベル」(『魔法少女ララベル』[1980]オープニング主題歌/作詞:伊藤アキラ 作曲:いずみたく)、「恋は突然」(『愛してナイト』[1983]オープニング主題歌/作詞:藤公之介 作曲:小田裕一郎)、「ひみつのアッコちゃん」(『ひみつのアッコちゃん』[1988]オープニング主題歌/作詞:井上ひさし、山元護久 作曲:小林亜星)、「太陽を追いかけて」(『風の中の少女 金髪のジェニー』[1992]オープニング主題歌/作詞:そのべかずのり 作曲:長谷川智樹)。

「恋は突然」は、「アメリカン・フィーリング」(サーカス)、「青い珊瑚礁」(松田聖子)などのヒット曲を手がけた小田裕一郎の作曲。1980年に発売された堀江美都子のオリジナル・アルバム「EMOTION」のサウンド・プロデュースを手がけたのが小田裕一郎だった。この曲もミッチの魅力を引き出すキュートで爽やかなポップスに仕上がっている。ロックバンドを題材にした作品らしく、間奏のエレキギターのアドリブがしびれる。

 

次は「お茶の間ソング」コーナー。

ファミリーソングとも呼ばれる、家族で楽しめる作品の歌がメドレーで歌われた。

「サザエさんのうた」(『まんが名作劇場 サザエさん』[1975]オープニング主題歌/作詞:保冨康午 作曲:渡辺宙明)、「走れ!ジョリィ」(『名犬ジョリィ』[1981]オープニング主題歌/作詞:若谷和子 作曲:ティティーネ・スケーベンス)、「タンゴむりすんな!」(『俺はあばれはっちゃく』[1979]オープニング主題歌/作詞:山中恒 作曲:渡辺岳夫)、「青空っていいな」(『ドラえもん』[1979~]第4エンディングテーマ[1988~1992放送]/作詞:高田ひろお 作曲:菊池俊輔)の4曲。

 

「サザエさんのうた」は『マジンガーZ』で知られる作曲家・渡辺宙明の作曲。渡辺宙明といえばパンチのきいたアクション曲のイメージが強いが、こうしたメロディアスなポップスも得意で、本人も気に入っているという。この歌は近年になって人気が高まり、ステージで歌われる機会も増えた。堀江美都子のはつらつとした歌声にサザエさん一家の楽しい顔が浮かんでくる。

『俺はあばれはっちゃく』は山中恒の児童文学作品のドラマ化。作者自ら作詞した「タンゴむりすんな!」では、前半の神妙な調子が後半がらっとやんちゃな調子に切り替わるのが痛快だ。堀江美都子はその変化を歌でみごとに表現。渡辺岳夫がミッチの新しい持ち味を引き出した快作だった。

明るい曲調の歌が続き、会場もほのぼのした空気に包まれた。

 

ここで堀江美都子から、日本コロムビアからリリースされたばかりの2つの50周年記念アルバムが紹介された。カバーアルバム「One Voice」と2枚組ベストアルバム「One Girl BEST」である。

今回のコンサートの曲はすべてこの2つのアルバムから選曲されている(ゲストコーナーを除く)。手元にそろえれば、プレイリストを作ってコンサートを再現することも可能だ。

 

次のコーナーでは、「One Voice」でカバーした曲が披露された。

「銀河鉄道999(THE GALAXY EXPRESS 999)」(劇場版『銀河鉄道999』[1979年]主題歌/作詞:奈良橋陽子、山川啓介 作曲:タケカワユキヒデ)、「星間飛行」(『マクロスF』[2008年]挿入歌/作詞:松本隆 作曲:菅野よう子)の2曲。

いずれもアニメソング史に名を刻む名曲である。

演奏には、堀江美都子と30年来のつきあいになるバンドBROADWAYのメンバーに加え、近年の堀江美都子のステージを支える若いバンドメンバーが参加。デビュー50周年記念コンサートならではのスペシャルバンドが実現した。堀江諒介も加わったにぎやかな演奏をバックに堀江美都子が生き生きと歌うステージは、コンサート一番の盛り上がりになった。

「銀河鉄道999(THE GALAXY EXPRESS 999)」は70年代アニメブームを代表するゴダイゴのヒット曲。さまざまなアーティストにカバーされている人気曲だ。堀江美都子は原曲の味わいを残しながら、旅立つ誰かを見守るような温かく爽やかな歌声を聴かせる。ミッチならではの解釈が光るカバーになった。

「銀河一のアイドルのデビュー曲」との設定で書かれた「星間飛行」は、松本隆の詩と菅野よう子の曲の組み合わせで2000年代のアニソンシーンに衝撃を与えた楽曲。それを堀江美都子が歌う。2020年の衝撃だ。50年経っても新しいことにチャレンジし続ける堀江美都子の意欲と感性が、21世紀の名曲をミッチ流に生まれ変わらせた。

松尾洋一のエレキギターと須藤賢一のハモンドオルガンのグルーヴィなプレイも華を添える。「全員で祝いたい」という冒頭の堀江美都子の言葉通りの、楽しく感動的な時間だった。

 

「アニメソングには五感で感じ取る歌もある」との紹介から始まった次の曲は、『赤毛のアン』で知られる作家ルーシー・モード・モンゴメリの小説を原作にしたテレビアニメ『風の少女エミリー』(2007)のオープニング主題歌「風の少女」(作詞:吉元由美 作曲:宮川彬良)。

近年は父・宮川泰の仕事を受け継いだ『宇宙戦艦ヤマト2199』『宇宙戦艦ヤマト2202』の音楽で活躍する宮川彬良の曲は、カナダの豊かな自然の中で生きる少女の瑞々しい感性とひたむきな想いをスケールの大きなメロディで表現する。ミュージカルの音楽でも活躍する宮川彬良らしい、躍動感と色彩感のある曲だ。堀江美都子はレコーディングスタジオの小さなブースで歌いながら、リンゴの匂いや柔らかな風を感じていたという。そして、歌い終えた堀江美都子に宮川彬良が近づいて、「今、風が吹きましたね」と声をかけてくれたという感動的なエピソードを語ってくれた。

 

さあ、コンサートも大詰め。

アニメソング歌手・堀江美都子の人生を決定づけた1曲がここで登場する。

100万枚を超えるヒット。堀江美都子の代名詞となり、その存在が重すぎると感じて、ステージで歌わなかった時期もある。けれど、今は「堀江美都子といえばこの曲」とわかってもらえる1曲があることを幸せに思っている。

曲はもちろん、「キャンディ キャンディ」(『キャンディ・キャンディ』[1976年]オープニング主題歌/作詞:名木田恵子 作曲:渡辺岳夫)。

時代を超えて愛される名曲。「初心に戻って歌います」と語る堀江美都子の言葉からは、50年の歌手人生を支えてくれた人々への感謝と50周年を超えて先へ進んで行こうとする強い気持ちが伝わってきた。当時のままのアレンジとテンポで、初めてレコーディングしたときのように、ひとつひとつの言葉を大切に歌うミッチ。会場のファンも、「あの日」に戻ったかのような新鮮な気持ちでその歌を聴いた。

堀江美都子が歌手になるきっかけとなった『ちびっこのどじまん』に応募してくれた東京のおばと、子どもの頃に一緒に暮らしていたおじ夫婦が会場に来てくれていた。思ったより早くに亡くなった両親に代わり、3人が50周年を見届けてくれている。堀江美都子の歌は、きっと両親にも届いただろう。

 

これまで歌ってこられたのは、時代に恵まれたこともあったし、仲間と日本コロムビアのスタッフと応援してくれたファン、そして家族がいたから。

そう語る堀江美都子が、とうとうラストソングを歌うときが来た。

歌ってきた曲は1200曲以上。どの歌も世界中に広がって愛されている。自分が作り出した子どもたちが大きな花を咲かせて、自分のもとに戻ってきているような感覚。その想いをかみしめながら歌っているときが何より幸せだとしみじみ語るミッチ。

最後の曲は、この曲を歌うことが50年歌ってきたアニメソング歌手・堀江美都子に与えられた使命だと感じた1曲。

「キミのひかり」(映画『ドラえもん のび太と奇跡の島 ~アニマルアドベンチャー~』[2012]挿入歌/作詞:マイクスギヤマ 作曲:沢田完)。

映画では、のび太たちが冒険の中で大切な人を思い出す場面にこの歌が流れる。今と未来を生きる子どもたちに向けたメッセージが込められた、心を震わせる美しいバラードだ。

 

照明の落ちた客席に揺れるサイリウムの光。

それは、堀江美都子の歌とともに育ったファンがミッチに贈る感謝とエールの光に見えた。

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  • アンコール

アンコールは、ゲストバンドも加わり、堀江諒介とゲストの水木一郎、影山ヒロノブも参加して、全員で歌う1曲。

「君がいるから」(映画『ドラえもん のび太のパラレル西遊記』[1988]エンディング主題歌/作詞:武田鉄矢 作曲:山木康世)。

旅人の想いを情感豊かに歌うロック調の曲だ。客席も手拍子で参加し、楽しく盛り上がる。

そして、本当に最後の曲。

これから先どんなことがあるかわからないけれど、それでもやっぱり「あしたがすき」と言って生きていきたい。

そんな思いを込めた「あしたがすき」(『キャンディ・キャンディ』[1976]エンディング主題歌/作詞:名木田恵子 作曲:渡辺岳夫)。

オープニング主題歌以上に好きだというファンもいる永遠の名曲の詩とメロディが、客席のファンの胸にしみわたる。

 

堀江美都子と同じ時代に生き、歌声を聴ける幸せを感じたコンサートだった。

ミッチ、デビュー50周年おめでとう!

その歌声が、これからも末永く世界中のファンに届きますように。COCX-41057.jpgCOCX-41055-6.jpghorieアー写_1.jpg

【セットリスト】

  1. 紅三四郎
  2. アクビ娘
  3. 魔法のマコちゃん
  4. 心のうた
  5. かぐや姫先生のうた
  6. 緑の陽だまり
  7. ぼくらきょうだい てんとう虫
  8. けろっこデメタン
  9. メドレー

シンドバットのぼうけん

ジムボタンの歌

ペペロの冒険

  1. 魔女っ子チックル
  2. 花の子ルンルン
  3. ハロー!サンディベル
  4. メドレー

宇宙魔神ダイケンゴーの歌

ダルタニアスの歌

ボルテスVの歌

  1. 響け!太鼓の達人

 

サプライズ:カナリア

 

  1. グローイング・アップ
  2. ハローララベル
  3. 恋は突然
  4. ひみつのアッコちゃん
  5. 太陽を追いかけて
  6. メドレー

サザエさんのうた

走れ!ジョリィ

タンゴむりすんな!

青空っていいな

  1. 銀河鉄道999(THE GALAXY EXPRESS 999)
  2. 星間飛行
  3. 風の少女
  4. キャンディ キャンディ
  5. キミのひかり

 

(アンコール)

EC1.君がいるから

EC2.あしたがすき

 

出演:堀江美都子

ゲスト:水木一郎、影山ヒロノブ

演奏:BROADWAY(須藤賢一[Keyboard]、松尾洋一[Guitar]、岩田ガンタ康彦[Drums]、村上聖[Bass])

ゲストバンド:中村智美(Keyboard)、吉岡満則(Bass)、早川誠一郎(Percussion)

コーラス:KAKO♪、堀江諒介

司会:鈴木美潮

【リリース】

  • 2020年2月12日(水)発売

名作アニメーション映画より 主題歌・劇中歌を精選した珠玉のカバー集

Produced by 武部聡志

「One Voice」COCX-41057 ¥3,000+税

  • 2020年2月12日(水)発売

50年のキャリアから厳選したオールタイムベスト

「One Girl BEST」COCX-41055~6(CD2枚組) ¥3,000+税

【オフィシャルサイト】

堀江美都子アーティストHP

https://columbia.jp/micchi/

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